ナイアシン 口腔がん 食道がん を予防する

口腔がん 食道がん を予防する 『 ナイアシン 』 ビタミンの知恵・知識
口腔がん 食道がん を予防する 『 ナイアシン 』

ナイアシン 口腔がん 食道がん を予防する 効果があります。ナイアシンの 効能 効果や 働き 作用 などを紹介します。 ナイアシン はナイアシンアミド ( ニコチンアミド ) と ナイアシン ( ニコチン酸 ) の総称です。 ナイアシン はビタミンB3と呼ばれていた ビタミンB群 の仲間で、水に溶ける 水溶性 の ビタミン です。

口腔がん 食道がん を予防する 『 ナイアシン 』

口腔がん 食道がん を予防する 『 ナイアシン 』

ナイアシン 口腔がん 食道がん を予防 酸化・遺元 の働きを担う

よく知られている ナイアシン の働きは

  • アルコールを多く飲む人に
  • 血行をよくする
  • 激しい運動をする人に

などと言われます。 ナイアシン は ビタミンB 群の 1 つで、 ビタミンB3 とも呼ばれる水溶性のビタミン です。ニコチン酸とニコチン酸アミドの 2 つの形がある。ニコチン酸とニコチン酸アミドはヒトが生きるのに欠かせない ビタミン ですが、これとよく似た構造のニコチンは農業用の殺虫剤であり、タバコの成分でもあります。

毒物ニコチンの親戚である ナイアシン が、わたしたちが生きるのに必須の ビタミン であることは、とても不思議です。

ニコチン酸アミド は アデニン とドッキングし、NAD  ( コチンアミドアデニンジヌクレオチド ) という 補酵素 となり、生体で酸化と還元にかかわる 200 以上の酵素のはたらきを助けています。

どんな生き物でも、三大栄養素を分解することで生きる力を得ている。三大栄養素を分解するプロセスでいちばん多い化学反応は、酸化と還元です。

ナイアシン と ビタミンB2 はこの酸化と還元を引き受ける2大エースだが、ナイアシンのほうが多くの酵素とかかわっていることに加えて エストロゲン テストステロン コルチゾール インスリン などの重要なホルモンの合成にも必要なため、 ビタミンB2 よりも多く補給しなければなりません。

たとえば、 ナイアシン の1日の所要量は、 ビタミンB 群 のなかでもっとも多く、成人男子で16 mg、成人女子で14 mg となっています。これは ビタミンB2 の約10倍です。生体のエネルギー生産のいたるところで活躍している ナイアシン が不足すれば、エネルギー不足のため、疲労困憊となったり、注意力が散漫になります。

二日酔い防止

二日酔いは、 アセトアルデヒド という毒物が体内に蓄積した結果です。 アセトアルデヒド は ナイアシン と ビタミンC の助けを得て酢酸に分解されますが、どちらの ビタミン も飲酒によって消費されるので、お酒を飲む人は忘れずに補給しましょう。

また、 ナイアシン は皮膚を丈夫にし、神経細胞に栄養を与え、胃腸を活発にする役割があります。もしも不足すると、皮膚の色は黒くなり、エネルギー不足のために元気や活力がなく、頭はまるで雲がかかった状態になってしまいます。

ナイアシン 不足を通り越して、欠乏にまでいたると、 「 ペラグラ」 という病気が発生します。 ペラグラ はイタリア語で「皮膚が痛む」という意味です。

「 ペラグラ 」 になると、日光が当たる部分に炎症が起きます。炎症は 「 やけど 」 をイメージしてもらえばいいでしょう。その名の通り、皮膚の色がどす黒くまなり、ツヤがなくなり、皮膚が剥げ落ちてきます。

さらに、胃腸の具合も悪おかくなり、下痢をし、神経が冒され、記憶を維持できなくなります。認知症になり、最終的には死にいたるという怖い病気です。

ナイアシン ( ビタミンB3 )

主成分
  • ニコチン酸
  • ニコチン酸アミド
効能
  • 二日酔い防止
  • がん予防
  • 心臓病予防
  • 皮膚を丈夫にし、神経細胞に栄養を与え、胃腸を活発にする
副作用
過剰摂取すると肝臓や胃に異常があらわれる
注意
痛風薬 スルフィンピラゾンン と併用してはいけない

欠乏症は侮れない

エネルギー生産の基本を担う ナイアシン は、非常に大事な栄養素であるから、そうそう不足させるわけにはいきません。そこで人間には、 ナイアシン 不足だとアミノ酸のトリプトファンからつくつて補う、というバックアップシステムが備わっているのです。

すなわち、 ビタミンB2 、B6、ヘム鉄 の連係プレーによって トリプトファン が NAD に変換されます。ただし、効率はとても悪く、60 mg のトリプトファンからつくられるナイアシンはわずか 1 mg です。このバックアップシステムのおかげで、 ナイアシン が欠乏するのは、 ナイアシン とトリプトファン の両方が食物から適切に摂取されない場合のみとなります。

ハルトナップ病 という遺伝病の患者は、 トリプトファン の吸収がうまくいかないので ペラグラ を発生させやすいのです。また、がんが消化管にできると セロトニン がどんどん失われます。

このため、 トリプトファン がもっぱら セロトニン の生産に消費されることにより、 ナイアシン が不足します。わが国でも結核が再び増えているが、抗結核薬 イソニアジド は ナイアシン 不足を引き起こすことがあります。

DNA はダメージを修復

ナイアシン は、がんを予防するという結果が出ています。がんは DNA に突然変異が起こることで発生すします。 DNA は、紫外線や発がん物質などによって常にダメージを受けているが、通常、このダメージは、細胞分裂の前に修復されるので、突然変異はなかなか起こりません。わたしたちがそう簡単にがんにはならないのは、この修復のおかげです。

ところが、もしも DNA ダメージの修復に時間がかかり、ダメージをもったまま細胞が分裂するなら、突然変異が発生してしまいます。こうして、がんへの階段を一歩上ることになってしまいます。だから、がん予防には DNA ダメージの修復がカギを握るのです。

細胞のなかに前述した NAD が十分に存在するとき、 ADP リボース という物質がたくさんつくられます。これが合図となって、 DNA ダメージの修復が進みます。そして、もし NAD が細胞内で減少すると、ヒトの乳腺、皮膚、肺の細胞において、がん抑制タンパク質 P-53 のはらきが鈍ってしまいます。

P-53 は、DNA ダメージを発見するやいなや修復するのですが、ダメージが大きすぎると修復せずに、細胞に自殺を命じ、細胞のがん化を食い止めます。

このため、P-53 は 「 DNA の守護神」 とも呼ばれています。 NAD の減少は、 DNA の守護神のはたらきを弱めてしまうのです。

細胞内にどれだけの NAD があれば、はたまた、NAD をつくる ナイアシン や トリプトファン をどれだけ摂取すれば、 DNA ダメージの修復が 「 最大」 になるのでしょうか。

まだ確定されていないが、この量が、 ペラグラ を防ぐのに必要な量より多いことは確かです。 ナイアシン を混ぜた エサ をハツカネズミに食べさせたところ、紫外線によるがんの発生が抑えられたという報告があります。アメリカにあるロジャー・ウイリアムスがんセンターのウエイトバーグ博士は、ヒト細胞を用いた研究結果を報告している。ある人がナイアシンのサプリを 1 日100 mg 、 8 週間摂取したところ、白血球中のNAD は5 倍に上昇しました。この人の細胞と、サプリを摂取しなかった人の細胞を採取し、それぞれ試験管中で活性酸素を加えて24 時間培養しました。その結果、サプリ摂取者の細胞は、そうでない人の細胞にくらべて、D N A 鎖の切断がはるかに少なかった。ナイアシンは、活性酸素によるDNA ダメージの修復を促進することがわかります。

がん にかかるリスクが低下

食物因子と がん の関係は、たいていは、統計学を用いた疫学研究で、ある食物や食物成分ががんを抑制するのでは、と指摘されてから細胞レベルでの基礎研究をはじめます。

ナイアシ ンは、これが逆転した珍しいケースです。すなわち、まず、 ナイアシン が存在するときの DNA ダメージの修復が細胞レベルで研究され、つづいて、ヒトにおけるナイアシン摂取量とがんの関係性が調べられ、疫学的に裏付けされます。

イタリアのネグリ博士は、1992 年から 1997 年にかけて、イタリアとスイスで 口腔がん と咽頭がん 患者 754 人を対象に行われた大規模調査の結果を 「 国際がん雑誌 」 に報告しました。

それによると、 ナイアシン や レチノール 、 リコピン、 ビタミンB2などの抗酸化物質を多く摂取した人は、そうでない人にくらべて、口腔がんや咽頭がんにかかるリスクが低下していたのです。

ナイアシンの摂取が 6.2 mg 増えると、口腔がんや咽頭がんにかかるリスルクが 40 % 低下し、5.2mg 増えるとと 食道がん も同じくらい減少するという結論です。

心臓病を予防する

ナイアシン は心臓病の予防にも利用されています。アメリカでは、毎日 1000 mg のナイアシンを錠剤として服用すると、LDL ( 悪玉コレステロール )  値を下げるばかりか、HDL  ( 善玉コレステロール ) 値も上げるダブル効果が報告されています。

それなら、 ナイアシン をどんどん摂取すればいいかというと、そうもいきません。水溶性ビタミンは、過剰な分は体から出ていくので、副作用がない.のがふつうですが、それはあくまで ビタミン として ナイアシン を利用したときケースであり、 薬 として服用するのなら、別の話です。

たとえば、 ナイアシン を大量に、長い期間にわたって摂りつづけると、肝臓や胃に異常があらわれ、血糖値もかなり高くなるなどの症状があらわれることがあります。

また、ナイアシンを 500 mg 摂取したところ、急に皮膚が赤くなり、全身がほてる 「 ナイアシンフラッシング 」 が発生したが、幸い、3時間後に跡形もなく消えました。

痛風 結核 患者にも必要

ライナス・ポーリング研究所は、 1 日 20 mg の ナイアシン 摂取を勧めている。 ナイアシン と薬との相互作用も報告されています。

痛風薬 スルフィンピラゾン は、血液中の尿酸を尿中に排泄するのを促進します。ところが、 ナイアシン はこの尿酸排泄を妨げてしまいます。また、抗がん剤 5-フルオロウラシル を長期間服用すると、 ペラグラ の症状をしめすことが報告されているから、 ナイアシン をサプリで摂取する必要があるでしょう。

長期間にわたる結核治療にも、 ナイアシン を摂取することが勧められます。抗結核薬 イソニアジド がナイアシンのはたらきを妨げた結果、 ペラグラ の症状が発生するからです。

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